1. 素材の力:堅牢で重厚な「唐木」
この衝立の枠や台座に使われているのは、いわゆる「唐木(紫檀や黒檀、花梨などの総称)」と呼ばれる高級木材です。
- 耐久性と重量感: 唐木は非常に密度が高く、水に沈むほど重いのが特徴です。そのため、100年以上の時を経ても狂いや歪みが出にくく、このどっしりとした佇まいが空間に「安定感」と「品格」をもたらします。
- 経年美: 使い込むほどに、また手入れを繰り返すほどに、木肌に深い艶(パティナ)が生まれます。現在のマットで落ち着いた質感も、唐木ならではの魅力です。
2. 技の粋:光の芸術「螺鈿細工」
表面の鳳凰や松、裏面の文字に使用されている「螺鈿(貝殻の内側の真珠層を切り出して嵌め込む技法)」の質が非常に高いです。
- 色彩のゆらぎ: 光の当たる角度によってピンク、グリーン、ブルーと虹色に輝きます。これは人工の塗料では決して出せない「自然の輝き」であり、暗めのお部屋に置くと、わずかな光を拾って浮かび上がるような幻想的な美しさを放ちます。
- 精密な彫り込み: 特に鳳凰の羽や松の葉の一枚一枚まで細かくカットされており、当時の職人の驚異的な集中力が伺えます。
3. 文学と歴史:清代末期の教養を映す「書」
裏面には、唐代の詩人・張継の有名な七言絶句『楓橋夜泊(ふうきょうやはく)』が刻まれています。
- 文化的価値: 「月落ち烏鳴いて霜天に満つ…」で始まるこの詩は、日本人にも古くから愛されてきた風景詩です。これを螺鈿で表現する贅沢さは、当時の持ち主が高い教養と財力を兼ね備えていたことを示しています。
- 「光緒丙午(1906年)」の銘: 銘文から、清朝末期の光緒32年(1906年)に制作されたものと推察されます。また、署名にある「兪樾(ゆえつ)」は、清代末期を代表する高名な学者・書家です。もし彼による揮毫(あるいはその写し)を元に彫られたものであれば、資料的な価値も非常に高いと言えます。
4. 意匠の縁起:鳳凰と松
表面のモチーフは「鳳凰」と「松」という、東洋における最高級の吉祥(おめでたい)図案です。
- 鳳凰: 優れた王が治める時に現れるとされる神鳥で、高貴さと平和の象徴です。
- 松: 冬でも葉を落とさないことから、不老長寿の象徴とされます。 これらが描かれた衝立を玄関や居間に置くことは、家庭の繁栄と平穏を願うという意味を持ちます。
ほんとくの骨董品商品は1点物です。必ず商品の形・大きさ・色合いを見てご購入ください。



寸法
1130×360×1180





