1. 漆黒(または深紫)と銀のコントラスト
胴の部分に施された蒔絵が非常に繊細です。
- 深みのある色調: 漆の深い色合いが背景にあることで、描かれた植物(露草や蔓)が浮かび上がるように見えます。これは「静寂の中の華やかさ」を重んじる日本の美意識そのものです。
- 緻密な葉脈: 葉の一枚一枚に細かく描かれた線(描き割りや針描きなどの技法)が、職人の高い技術力を物語っています。
2. 「露草」というモチーフの奥ゆかしさ
露草は、朝に咲いて昼には萎んでしまうことから、古来より「儚さ」や「移ろいゆく美しさ」の象徴とされてきました。
- 能楽との親和性: 小鼓が活躍する「能」の世界観は、幽玄や無常観を大切にします。儚い露草をモチーフに選んでいる点は、楽器が奏でる繊細な音色と、物語の深みを視覚的にもリンクさせています。
- 季節の情緒: 露草は夏の季語ですが、秋の気配も感じさせる植物です。この鼓があるだけで、その場の空気が凛と引き締まるような季節の情緒を感じさせます。
3. 「調べ緒(紐)」との色彩の調和
鮮やかなオレンジ色の調べ緒(しらべお)と、シックな胴の対比が非常に美しいです。
- この力強いオレンジ色は、舞台上で演奏者の肩に置かれた際、観客の目を惹きつける視覚的なアクセントになります。
- 使い込まれた紐の質感が、この鼓が単なる鑑賞用ではなく、実際に音を紡いできた「生きた道具」であることを感じさせ、道具としての風格を醸し出しています。
4. 機能美と造形美の融合
鼓の胴は、中央がくびれた砂時計のような独特のフォルムをしています。
- この曲線美に沿って蒔絵を施すのは至難の業ですが、歪みなく美しく配置されています。
- 革の表面にある円形の紋様(三つ引など)と、胴の植物文様が組み合わさることで、幾何学的な面白さと有機的な柔らかさが共存しています。



福岡骨董品 ほんとくの商品は1点物です。必ず商品の形・大きさ・色合いを見てご購入ください。
寸法 販売価格
210×210×270 88,000円





