1. 「折鶴」という意匠の妙
一般的な「鶴」の蒔絵は長寿を願う定番の柄ですが、あえて「折鶴」を描いている点に、日本らしい情緒と遊び心が詰まっています。
- 幾何学的な美しさ: 本物の鳥ではなく、折り紙という「人の手で作られた形」を漆器に落とし込むことで、直線と曲線のコントラストが生まれ、非常にモダンで洗練された印象を与えます。
- 祈りの象徴: 折鶴は平和や祈りの象徴でもあります。この鼓が打ち鳴らされる舞台(能や長唄など)に、深い精神性を添えるデザインと言えます。
2. 卓越した蒔絵技術
拝見すると、職人のこだわりがよくわかります。
- 描き込みの密度: 折鶴の羽の中に、さらに細かい文様(青海波や微細な線)が描き込まれています。これは「描き割り」や「細密蒔絵」と呼ばれる技法で、単なる金色一色ではない、立体感と光の陰影を生み出しています。
- 松葉の表現: 背景に散らされた繊細な松葉のような線が、画面全体に動きと風を感じさせ、静かな鼓の胴に命を吹き込んでいます。
3. 色彩の調和(朱・黒・金の三重奏)
- 伝統の対比: 黒漆の深い光沢に、鮮やかな金の蒔絵、そして鼓を締める「調べ緒(オレンジ色の紐)」の対比が見事です。
- 経年変化の美: 革(かわ)の色味や漆の落ち着き具合から、大切に手入れされ、時代を経てきたことが伺えます。新品には出せない、道具としての「風格」が備わっています。
4. 舞台映えする存在感
小鼓は演奏中、常に顔の近くに掲げられる楽器です。この折鶴蒔絵は、遠くから見れば金の輝きが美しく、近くで見ればその繊細な仕事に息を呑む。まさに「演者を引き立て、観客を魅了する」ために誂えられた一級品と言えるでしょう。



福岡骨董品 ほんとくの商品は1点物です。必ず商品の形・大きさ・色合いを見てご購入ください。
寸法 販売価格
210×210×270 120,000円





