1. 蓮弁(れんべん)の彫刻の美しさ
蓮(ハス)の花びらを模した模様が「蓮弁文」です。
- 立体感と釉薬の濃淡: 鋭角な道具で彫り込まれた文様の上に、厚く釉薬(うわぐすり)がかかることで、彫りの深い部分には釉薬が溜まり、色が濃く見えます。この「釉だまり」が作り出す微妙なグラデーションが、単色の器に立体的な奥行きを与えています。
- 精神性: 蓮は仏教において泥の中から清らかな花を咲かせる象徴です。この器が当時、単なる食器としてだけでなく、格式ある場や仏教的な意味合いを持って扱われていた可能性を感じさせます。
2. 貫入(かんにゅう)が生み出す景色
表面の細かなヒビ割れ模様を「貫入」と呼びます。
- 氷のような美しさ: 焼成後の冷却時に、素地と釉薬の収縮率の差で生まれるものですが、この作品は全体に細かく美しい貫入が入っています。まるで氷が張り詰めたような、あるいは水面が揺らいでいるような独特のテクスチャ(質感)を生み出しており、光の当たり方で見え方が変わるのが魅力です。
3. 日本で愛された証「金継ぎ(きんつぎ)」
口縁(フチ)に見られる金の補修跡は、非常に重要なポイントです。
- 「呼び継ぎ」や「金継ぎ」の美: 本来、欠けや割れは「傷(欠点)」ですが、日本ではこれを金で修復し、新たな「景色(見どころ)」として愛でる文化があります。
- 伝世の歴史: この丁寧な直しがあるということは、**「過去の持ち主(茶人や数寄者)が、修理をしてでも使い続けたいと思うほど大切にしていた」**という証拠です。これが作品に「愛玩された歴史」という付加価値を与えています。
4. 高台の目跡(めあと)
白い斑点が「目跡」です。
- 技術の痕跡: 高麗青磁を窯で焼く際、器同士がくっつかないように、珪石(けいせき)などの耐火性の粒を底に置いて重ね焼きをした跡です。
- 鑑定と鑑賞: この目跡が3点(あるいは数点)残っているのは、良質な高麗青磁の典型的な特徴であり、鑑賞においては「ここが見どころ」とされる重要なポイントです。




寸法 販売価格
165×165×80 70,000円






